#眞子side



やめよう、と思っていたのに。

いつもの調子を引き出されたら、ついに核心に触れてしまった。





『酔ってなんて、いなかったくせに。』


もっと驚いた顔をして欲しかったのに。


「気づいてたのか。」


涼しい顔で、返された。



『気づいてたわけじゃないっ!
後から知って、超〜〜〜恥ずかしかったんですからね!怒』

「何が?」

『何がって・・・!私が一人で、お酒に押されて舞い上がってたのかなって・・・。』

「須藤一人じゃないよ。」



廣井さんの横顔は、



「俺も十分、舞い上がってたし。」



こんなに端整に見えたっけ?




いちいち、ムカつく。
今日の廣井さんは、いちいち私をストップさせる。

それとも私が




「まぁ、謝らないけど。」




彼の一挙手一投足に、いちいち足を止めてしまうだけなのか。





『謝れよ。怒』

「謝るようなことはしてない。」

『無責任だろうがよ。』



返事が、止まって。
隣に目をやれば、驚いたような瞳と目が合った。

自分の発言を振り返る。


無責任?
あれ?私、何言った?


まるで、これじゃ。




『かっ、管理職でしょうがよっ!汗』



責任を、取って欲しかったみたいだ。

たかが、一晩のキスの。




「それな〜。それを言われると、もうぐうの音も出ない。汗
部下に手を出したっていう、そこのところの問題な。」

『そうだよっ!そこのところの責任は取れるんですかっていう話。』



上手く、話をすり替えたと思ったのに。




「まぁ、取れるよ。多分。」




あっさり響く返答に、また息が止まる。