あれ?
もしかして、今呼ばれた??
色を変えた信号に、周りと一斉に歩き出そうとして。
ヤケにリアルに響いた最後の「十和子」に、すんでのところで一人立ち止まる。
「十和子!」
やっぱり?やっぱりどこからか__________
_______________って、ええっ!?汗
「十和子ー!!」
視線が捉えた向かいの通り、アルマーニの前で何かを振り回して声を張り上げている人。
目を凝らす。
はためいて見えるのは、白と黒の・・・水玉、ではなくて・・・レオパード。
レオ、パード?!汗
『柊介?!?!』
何で?!汗
何で柊介がこんなところにいるの?!
さっきまでお店で、みんなと飲んでたよね?!
人相まで識別できなくとも、相変わらずに振り回されるジャケットで必死さが伝わってくる。まるで、無人島に漂流して助けを求める人みたいに。
この六本木のけやき坂通りでそんな奇行に走る姿を、道行く人たちが皆振り返る。
奇行・・・だよね、まさに。
あの柊介があんな事するかな?
これは見間違い?それとも蜃気楼??
思わず、目を擦ってもう一度開くと。
『なー!!!!!!!汗』
突如鳴り響く盛大なクラクション。
それは紛れもなく。
信号が変わった交差点を、一目散に突っ切って駆け抜けてくる、柊介の姿だった。