#眞子side



この人はいつも。

心配そうな顔をしているな。



「分かったから!汗
俺が先に下りるから、その後を来い。」



いつも慌てて追い掛けて来ては。

呆れながらも、私の我儘に付き合うんだ。



「出来ればそのヒール脱い、」



追い越そうとした手首を掴んだ。






驚いた顔。


どこまでも童顔。
私なんかよりずっと、大人のクセに。






“唇がピンク”

そう思った時には、もう。

自分から唇を押し付けていた。







「・・・!」

瞬時に、身体を押し返そうとする気配を感じて。首元に手を回してしがみ付いた。


ほんの少し、踵が浮く。

同じ目線だと思って来たその身体は。
向き合ってみれば、ちゃんと私より背が高かった。





隙間を空けたら、抵抗の言葉が飛び出しそうで。
角度を変えて、更に押し付けた。
深く深く彼を弄る。


触れた舌先が、一瞬私を追おうとして_________________





「・・・っ、」


理性を取り戻して、私の肩を押し返した。



「どうかしてるぞ!あとで後悔するぞ。」


濡れた口元。上がりかけた息。
それなのに、瞳は未だ流されずきちんと狼狽えていて。



悔しい。

私は、こんなに熱いのに。




『いいんです。私、酔っ払ってるだけだから。』




もう今更

この熱は下がらないのに。



『とりあえずキスしましょうよ。』

「明日になっ、」



まだ何か言おうとする唇を、無理やりに塞いだ。


もう一度、もっと深くまで差し込む。
無理やりに、彼の意識を私へ引き戻す。




引っかきまわす。



余所見しないで。
余計な事は考えないで。

私から目を離さないで。