もう一度、拓真の姿を探す。

でも、校庭には拓真の姿はなかった。


(だよね…)

がっかりしている自分がいて。

なんて言うか…

拓真に負けた気分。

でも、

自分の気持ちに気づけて、

嬉しくて

ちょっぴり、くすぐったい。



不思議だよね、

さっきまで、あんなに怒ってたのに。
さっきまで、君のこと大嫌いだったのに。


気分が晴れて、君のこともっと好きになったよ。


ねぇ、

「大好き――。」



ガチャッ


反射的に、後ろに振り返る。


そこにいたのは―――


「麻友美!やっと見付けた。」


今一番、会いたかった人―――。


「拓真っ!」


手すりから手を離して、

拓真に、駆け寄った。