チュンチュンと可愛らしい小鳥のさえずりで目を覚まし、
ナイスな焦げ目の食パンにバターを塗りながらテレビの星座占いを見る。
久々の1位にいい気になって、お気に入りのヘアピンを付けてみる。
「行ってきまーす」
トントンとローファーのつま先を床にタップして、勢いよく外へと飛び出す。
こんなに気持ちのいい朝には、道端で困っているお年寄りの一人や二人、
喜んで助けてしまいそうだ。
「山田」
「はい」
「もう一度聞く、遅刻の理由は?」
「あの、ですから、道端で困ってたおばあちゃんを助けてたら遅刻、しました。」
「次遅刻した時はもう少しマシな嘘考えとけよ、座ってよし。」
「……。」
そして本当に助けてしまったりなんかして、
おまけに遅刻までしてしまったりなんかして。
嘘じゃないのにそんな理由は信じてもらえない、寂しい時代になりました。