午後の授業も終わって、
部活に向かう途中、職員室の前を歩いていると
太田先生が声をかけてきた。

先生「おう!いまから帰んのか?」

「違いますよ。いまから部活です。」

先生「え!お前部活入ってたのか?!初めて知ったぞ」

先生は少し驚いた顔で私を見てきた。
私は、スポーツは好きだが、絵も好きで
運動部ではなく、美術部に所属していた。

「ええ。まあ…、美術部に。」

先生「そうか。俺はこれから会議してから、部活に行くんだ。頑張れよ!」

先生はとびきりスマイルを私に向けて
去っていった。

(でも今思えば、先生って綺麗な顔立ちしてるよなぁ…。)

わたしは気付けばそんな事を考えていた。
太田先生は、学校の中でも
一番カッコよくて人気のある先生で
当然人気もすごく高い

シャープな顔立ちで
切れ長の目、綺麗な鼻筋
綺麗な眉毛に、薄い唇
無造作にセットした髪の毛が似合ってて
すごくかっこよかった。

(身長も高いし…スポーツできるし…そりゃあ、モテるわ。)

ドンッ

1人でそんなことを考えていると
後ろから誰かにぶつかられた。

「いったぁ…」

??「いったぁ〜い。って、矢本じゃん。」
??「はぁ?邪魔だっつーの(笑)」

ぶつかってきたのは
喧嘩していた友達の
凪咲(ナギサ)と瀬奈(セナ)だった。

「……っ」

私は無視してその場を去った。
後ろから聞こえる罵声を無視して。

そして、早く逃げたい一心だった私は
それを太田先生に見られていたなんて
気付くはずもなかった…。