片付けが終わったところで電話がなった。
理貴に携帯なってるよと教えられ、伊都は電話に出た。
相手は透だった。伊都は、リビングから離れて通話ボタンを押した。
「はい」
「もしもし?伊都。俺」
「透?どうしたの」
「う~んとね、今日は、グランドの不備で使えなくなって、急に終わりになったんだけど、会えないかな?これから出られる?」
「うん。いいよ。私も、用事終わったから」
「じゃあさ、映画にでも行こう」
「家まで迎えに行こうか?」
「いいよ、わざわざ戻らなくて。透も直接、桜木町の方がいいでしょ?」
「サンキュー、じゃ一時間後で」
伊都は、電話を切った。
「デート?」
「はい。ただ、映画見に行くだけですけど」
「その格好で?」
「あっ…」
一度帰るつもりだったから、着替え持って来なかった。
理貴は、時計を見た。
もうすぐ、ショッピングモールの店が開く頃だ。
「大丈夫、何とかなるよ」
理貴は、上着を羽織ると
「さあ、行くよ。街を歩く女の子の誰にも負けない位、キレイにしてあげるよ」
そういうと、理貴は、すたすた歩いて先に行ってしまった。
「あっ、そうだ。服のブランドはどこがいいの?」振り返って理貴がいう。
「ええっと、店の名前まで覚えてなくて…すみません」
「じゃ、俺が使ってる店でいい?」
「はい」
理貴は、許可を取ると、電話を取りだしボタンを押した。
「ああ、木島さん?内藤です。今からコーディネートしてもらいたい子がいるんだけど。身長は?156㎝」理貴は同意を求めた。