「助かったな」
帰り道ユウが葵に言った。


「まあね。っていうか、何で?
あの動画いつ撮ったのよ」葵が聞いた。


「最近、理貴が熱心に何かやってたよ。俺も、直前に渡されて、中身を見たのも、さっきのが初めてだった」


「うそ……あの、堅物人造機械人間が?
伊都ちゃん相手に動画撮ってんの?
運動会に娘の動画を撮るパパみたいで想像できない」葵は豪快に笑う。

葵が微笑ましく理貴の姿を思い出しているのが、ユウにもわかった。


「葵、いじくるなよ。ただでさえ理貴は……」


「わかってるって……でも、来栖には話してもいいよね?」ユウは慌てて止めた。


「やめておけって。バレてること知ったら理貴は、また表に感情を出さなくなる」



「ごめんなさい…早く言ってよ。悪い。面白すぎて。残念。来栖には昨日、言っちゃった……」



「えっ?もう言ったの」まったく、この三人と来たら……


「だって、昨日の見た?理貴の、あんな顔」それには、ユウも頷いた。

グラビアアイドルが水着姿で迫っても、
顔色1つ変えない理貴が、ごく普通の女の子に興味を示しているなんて。


「見てたのか?ああ……だよなあ。思いっきりドア開いてたし、完全に二人の世界で俺らのこと二人とも気づいてないし。
うん。ケンサク以外は」



「じゃあ、みんな、ほとんど知ってる……ああ」


「まあ、いいんじゃない?
あの堅物がどうするのか見ものだな」