メーカー側の疑念は、用意する制服の数もそうだけど、外国人なんかに本当に売れるのか?
っていうとこだと思う。


「フランス側はすでにポランティアを30名ほど確保しました。
報酬はありませんが、ボランティアに参加すると、制服のリボンがもらえるんです」

会長が食いついた。

「現地での人集めは、全部あなた方が?」


「はい。私達には、
留学先に協力校の友人達がいて、事前に登録を済ませています。
私達の組織に登録すると、優先的に日本の商品やサービスを提供されます。

情報は鮮度が命ですから、雑誌やテレビではすでに遅いんです。

うちの会社では、SNSやネットで収集した情報で、すぐにビジネスに結びつけます。

制服もその一環です。情報をもらうためにメンバー登録をして、アンケートという形で戻してもらいます。

普段から、相互関係ができてますから、
こういうイベントのとき、参加の希望を
短い時間で取ることができます」


「ほう」


「すでに、制服の申し込みを100件ほど集めました。

その人たちの採寸をして、慈善団体と協議して、所定の成績を修めた学生に、制服の無料貸与を、行うための打ち合わせを
したいと思ってます。

ですので、御社にも、その費用の何割かを持っていただきたいと思います」



「注文が100で貸与分の費用……
正直言って、出張でヨーロッパに行くだけで赤字じゃないかね」



「今のとこは。でも、今がチャンスなんです。フランスが成功すれば、イギリス、イタリア、周辺の国にも広がる可能性があります。
いくつかの学校が、制服の着用を認めてくれましたし、
これが広まれば、可能性は途方もないです」