ここはアカネ学生服。

老舗の学生服メーカーだ。

いつものように、ユウは、本社ビルの正面にある受付に寄った。

「こんにちは。私ハイスクールカンパニー社の者ですが……」

ユウはキチンと挨拶するが、葵は秘書に挨拶させてる重役のように、後ろで知らん顔して立っている。

何度かここに通うようになって、ようやく社名を告げて笑われることもなくなった。



受付の人から、今日は、会長が対応すると告げられ、ビルの最上階に案内された。


経営者のトップがわざわざ出てくるのは、初めてだ。

こうした対応をされるのは、あまりよい兆候ではないとユウは思った。

何の問題も無ければ、担当者と内容を話し合ってお仕舞いだ。そんな用事に会社のトップが出てくるなんて……

ユウは、ため息をつく。


これまでも、この会社とは、
アニメに出てきた制服を再現してもらうために、何度か訪れた。

どれも、サンプルだけで、たいした取引ではなかった。

そこへ、外国に制服を売るなんて、荒唐無稽な話しだ。頭から否定されても仕方がない。