「はあい!いってきまーす」
伊都は、靴磨きをしてる父と、すれ違って言う。

父さん、その靴いくら磨いても、きれいにならないよ。
新しいの買わなきゃね。


「よう!おいっ…」
勢いよく、外に飛び出したので、透にぶつかりそうになる。


「ごめん、お待たせ。っていうか、毎日家まで迎えに来てくれなくていいよ。透。高校まで一緒じゃなくたって」


制服を整えながら、伊都が言う。


透の手が自然に伸びて、伊都の鞄を持つ。
伊都は、笑ってありがとうと返す。


透の家は、すぐ近所で、確かに駅に向かう途中で伊都の家の前を通る。

でも、不思議だった。

ほとんどの男友達が離れて行くなか透だけは、前と変わらず話しかけてくる。


「いいじゃん、せっかく同じ高校に入ったんだし、学校まで誰かと一緒の方が楽しいし」

「うん」


「それに、朝じゃないと、時間合わないだろ?」