彼女が来てくれた方がいいじゃないか。


「前もって、連絡くれればいつでもいいよ」

本当は、連絡なんかしてくたって問題ないのだが、万が一すれ違ったら困る。


「朝って、何時ごろなら大丈夫ですか?」


「朝早くってこと?」
伊都は軽く頷いた。


「理貴さん、朝食どうしてますか?」


「いや。朝食の事なんか考えたことないが…それが?」


「やっぱり。誰に聞いても食べてるの見たことないって聞きましたよ。もし、よかったらついでに作っていきますね」


「ついでにって、いつのこと?」


「なに言ってるんですか、朝食は毎日食べないと」


「えっ?」


「必要なければ、来なくていいと留守電にでも入れておいて下さい」


「いや、あの…それは…」

毎日、彼女はここに来るってこと?


本当に?


「では、私これで失礼します。まずい。こんな時間…じゃあ、私はこれで失礼します」


彼女は、みんなに聞こえるように大きな声で
「お疲れさまでした」という声と共に部屋を出ていった。


理貴は、彼女の後ろ姿を見送った。




帰り際に掛かってきた電話に出た彼女が、
「透?ごめん、遅くなった」と言ってたのを聞いた。


今までの幸せな気分はどこかに消えてしまった。

やっぱり、俺、どうかしてるのかな。