「伊都、大丈夫か?」
「うん」
朝ごはんを作ろうと、台所に立ったところで
父に声をかけられた。気分が高まってるせいか、全然眠くなかった。
父がいつもより早く起きてきた。
「昨日遅かっただろう」
ほんの少し帰る時間が父より遅かった。
「うん。バイト決まったよ。
ついでにバイト先で、食事を作ってきたから遅くなった」
伊都は、昨日あったことを話した。
時給が高いってことは黙っていた。制服でビデオを撮ったことも。
「そうか。まあ、
あんまりがんばり過ぎないようにな」
背中をポンと叩くと、父はいつも通り新聞を取りに玄関に行く。
「ん。父さん私、昨日、カレー作って
おいたけど、二人とも大丈夫だった?ちゃんと食べてたかな」
「何だ、知らないのか?」
「うん」
「昨日、透君が帰り寄ってくれて、
食事とお風呂まで、一緒に入ってくれたぞ。
よく、お礼言っておけ」
本当に?
家に着いた頃には二人とも寝ていた。
「うん」
透にお礼を言わなくては。