「どうでしょうか?」


しーんと静まり返った室内。


伊都は、普段家で作る隠し味をいれたものではなく、説明通りの作り方をした。

気軽に作りましょうか、なんて言ってしまった。

初めてみんなに料理を振舞うのに、たいした準備もしないでカレーを作ってこれで満足してもらえなかったらどうしよう。


伊都は、トレイをぎゅっと抱きしめてテーブルに並んだメンバーが、黙々とカレーライスを口に運ぶのを見守った。

一応、採用になったものの、腕が認められないと取り消されるかも知れない。


ただ黙々とカレーを食べるメンバー


ご飯にカレーをかけただけ。
シンプルなものだ。


世界中で、美味しいものを食べてきたのだ。こんなシンプルなもので満足するはずがない。


「今日の作り方は、箱に書いてある作り方の通りに作ってみました。あの…やっぱり、美味しくなかったでしょうか」


言い訳がましく聞こえたかな…  
どうしよう。


「あの…もう少し工夫すれば、好みの味にもできます…」
言い訳がましかったかな。

どうしよう。