「牧瀬さん、制服着たままでいいから、カレー作るとこ録画してもいい?」
理貴が腕組みしながら、伊都を見つめる。


「作ってるところをですか?」

普通に見られるだけで、恥ずかしいのに、この姿を見られるのはもっと恥ずかしい。


「ああ、アニメのキャラクターがカレー作るの楽しそうだなと思って」
葵が怪しげに理貴を見る。


「いいですけど。また着替えですか?」
やっぱり怪しくなってきた。

「いいよ。そのままで」


伊都はキッチンに移動し、野菜を切り、炒めてカレーを作りながらケンサクがカメラを回した。


いったい、今度は何が始まるの?

美少女戦士の制服着てカレー作れって、めちゃくちゃ怪しい。

伊都は心配になってきた。


「ケンサク手元を写して。伊都さん野菜の切り方とか、炒める順番とか、伊都さんは、おしゃべりみたいに話してくれるかな。小さな子供に話すみたいに」
理貴が口を出す。


「ちょっと、そう簡単に言うなよ」ケンサクがむっとする。


邪魔された葵が不機嫌そう。

「理貴、また何か始めるつもり?」
葵が尋ねる。


「うーん。食品会社にカレーのルーの売込みを頼まれたんだけど、どうしようかなあと思って」と理貴。



「場所は、どこ?」
それぞれが得意とする場所、内容が
違うので、葵もまずそのことを尋ねる。



「日本以外。結構広い範囲で販売かけてる。なのに、日本以外では思ったほど定着してないのはなぜかって聞かれて」

「カレーショップは、どこの国でも繁盛してるよ」
とケンサク。


「そうなんだ。カレーの店は、ちらほら出来て認知されてきてるのに、家庭料理として定着してないのはなぜか?だって」


「家で食べてないからだろ?」とユウ。


「だからなぜ食べてないかって」
理貴が切り返す。


「あはは、そんなの簡単。給食だよ。
小学校でみんなが食べる。学校で作り方を習う。子供が食べるから親が作る」


「なるほど」