その、祖父は、なんというだろうか。
反対するだろうか。
「気にしても仕方がないか」
「はい」
理貴は、彼女を見つめる。
「それより、そのよそよそしいしゃべり方、何とかしてくれないかな」
「敬語ですか?」
「ん、君が、俺と距離を置こうとしてるのは分かるけど、それも、無意味だって気付いてくれるかな?」
俺が、これだけ敵を遠ざけて、君の家族を味方につけた。
こうして、周りの外堀を埋めてるのに、君だけ距離を置いても意味がないって、そろそろ気付いてくれないかな
「理貴さん?」
そんな顔して驚いてるとこ見ると、分かってないんだ。
と理貴はいっそう、彼女のことが好きなる。
「理貴と名前で呼んで。それから、君のお父さんに、もしかしたら今日は帰れないって言ってある」
「なんてこと言うんですか?私、何も聞いてませんけど」
「いいよ。もちろん、強制するつもりはない。君の気持ちの都合のつくときでいいんだ」
でも言ったよね。
俺、本当に欲しいものは手に入れるし、手に入れるための手段は、決してやさしくないよって。
後は、君の返事一つだよ。
もう俺たちのこと、誰も反対する者はいない。だから、あきらめてね?
【END】