「それだけのために、父を採用したんですか?」


「悪いかい?本当は、家に帰すなんて面倒なことしたくないんだけど」



「理貴さん、私はそんなつもりありません」


「そんなつもりって、どんなこと考えてるの?考えてもいいけど。でも、それも近い将来だな」


伊都は、気持ちを切り替えた。

「アメリカには帰らないんですか?」


「君は、俺に、アメリカに帰ってほしいの?」


「いいえ。今、会社がなくなれば、私たちの生活は成り立ちません」


「じゃあ、俺も一緒だ。伊都がいなければ、俺のの生活は成り立たたない」


「えっと、あの?」


「本気だよ」


「高校卒業したら、アメリカに帰るってお父様と約束は?」


「知らない」


「知らないじゃ、済まされないでしょ?」