「とにかくどんな要求でも、どんな希望にも沿いたいって強い熱意があることかな。最初から、ダメだなんて決めつけないで、仕事の為なら何でもやると、意気込みもすごいとこかな」
というのが表向き名理由。
「単に、履歴書の書き方を理解していないんじゃないの?」
葵の意見に、多分その通りだろうなとつい、理貴も笑ってしまう。
みんなの前で口にはしなかったが、理貴が選んだ理由は、彼女が母親の代わりに家事をしていること。
一人で、父親と弟二人の面倒を見てることだ。
理貴は、それだけでも採用しようと思ってしまった。
幼い頃、自分も母親を、早くに亡くしている。
なので、同じ境遇の人間を見かけると、放ってはおけないのだ。
「あら、でも、可愛いこの子」
葵が機嫌を直した。