伊都が理貴を見た。そんな風には見えなかった。


「なんでもないよ」
理貴は、伊都の頭の中をのぞいてみたように言う。


「まったく、水くさいわね!!こんな楽しそうなこと、私抜きでやろうだなんて!!話はそれだけよ!伊都ちゃん!うちの教室、横浜にもあるから、明日からそっちに通ってね!!」



「はい」館野先生がピースをする。


館野先生がいたずらっぽく笑う。

「理貴、彼女に毎日、食事作ってもらってるの?」


「うるさいな」


「はい。そうさせていただいてます」


「この子、偏食で大変でしょ?」


「いいえ。嫌いなものは、何もきいてませんけど……理貴さん、嫌いなものあるんですか?」



「ああっ…」と言ったきり、館野先生は笑い転げた。