「どうだか……」


「信じてもらおうとは思いません。でも、話だけは聞いてください。

あの本を手に入れたのが、中学生のときです。

母が亡くなって子供達だけで料理を作りたいって父に言ったら、コンロを使わないって条件出されたんです。

火を使えないと温かい食事がとれません。

それで、父が先生の本を見つけてくれたんです。この本の通りなら、作っていいと食事を作ることを許してくれました」


「そう?」

「私たち家族は、あの本のおかげで、缶詰やコンビニ弁当から開放されました。

世の中には、親の帰りを待って、冷えたお弁当を食べたり、レトルトやインスタント、冷凍食品だけの食事をしてる子がたくさんいます。

そういう子に、コンロを使わないで、料理を作る方法を教えてあげたかったんです」


「そう、立派な思想ね」

「先生、お願いします!!本は、今修正すれば、まだ間に合います。先生の名前に変えてもかまいません。内容を書き換えても構いません。あの本を出すことに賛成していただけないでしょうか?」