「どういうことですか?」
もちろん、館野先生のことは知っている。

知りたいのは、どうしてその館野先生がどうして、自分と理貴を呼び出したかだ。


「詳しいことは、聞いてみないと分からない」
理貴の答えは、決まっている。憶測で物は言わない主義なのだ。


「すみません、私のせいです」


「いや。俺の落ち度だよ。君に、許可を取るように言わなかった俺が悪い」


「何でも理貴さんのせいにはできません」
理貴は、面白そうに笑った。


「でも、君、どうやって責任取るの?うちの商品を出すと言うことは、代表である、俺の名前で出すって言うことだ。だから責任はすべて俺にある」


「ごめんなさい」

伊都は、頭を下げた。



「いいよ。まずは、話を聞いてからだ」

伊都は自分の愚かさに悲しくなった。


高校生の世界と違って、一般の社会で本を出すと言うのは、印刷所に頼んで本をお店においてもらって、それで終わりではない。


しかも、子供の頃からあこがれていた、
館野先生に、初対面で謝りに行かなくてはならないなんて。


理貴が伊都の肩を抱き寄せ、額にキスをした。

理貴には、重圧とかプレッシャーとか無いんだろうか?