同じ会社で働く、同年代の男?

何て新鮮な響き!


ただの男だなんて、生まれて初めて思われたんじゃないか?


理貴は、笑いだした。

伊都は、いつも自分に新しい世界を見せてくれて驚かせてくれる。

そして、ずっとそばにいると、今度は逆に、温かくて懐かしい思い出に包まれているような気分になる。


例えば、自分も、母とこんなやり取りをしていただろうか?とか、


伊都といると、埋もれたピースが記憶の中から浮かび上がるような気がする。



そうしていると、彼女の知らない部分を、もっともっと探りたくなる。


多分、それが伊都といたいと願うほんとの理由だろう。


「いたずらのあとは、お仕置きが待ってるぞ」



理貴は伊都をきつく抱きしめ、唇を重ねた。


気がついたら洗濯機に彼女を押し付けて、相手が止めてくださいと、涙ぐむまでキスするのを止められなかった。


「ごめん、痛かっただろう?」


「いいえ」

理貴は、伊都の顔をじっと見る。


「泣きそうになりながら、いいえなんて言うなよ。止められなくなる」


そして、自分が彼女の反応を思ってる以上に、気にしていると知って驚いた。

キスは、嫌じゃなかった?

理貴は、もうこれ以上、彼女に触れないようにその場を離れた。