ケンサクが怪しげな漢字を書くのを、間違いないか、伊都は粘り強く見守っていた。
伊都は、時間切れだとばかりに、テキストを閉じた。
「ここまでにしておこうか」
伊都は気前よく言うと、テーブルの上を片づける。どうしようかな。困ったな。
問題は、理科だけじゃなかった。
教科のほとんどが、カタカナを書いたことによる減点で赤点になりそうだった。
「赤点だと、どうなるんですか?」
伊都が尋ねる。
「朝から学校に行って、真面目に授業に出ることだな」とユウが冷やかして言う。
「そんなの、当たり前じゃないですか」
伊都は、ケンサクに向かって言う。