「例えば、いかがわしい格好してビデオ撮らされたり、外国に連れて行かれたり」
透が、思い付くまま言う。


「大丈夫だよ。学校に求人が来たんだもん」伊都も言い返す。


「いや。だめだ。絶対だめ。バイトなんか他にいくらでもあるだろう」
透は、言い出したら聞かない。


「でも…そこ、時給2000円だって」
伊都は思った。
やっぱり、父さんの靴より、陸の塾代だ。


陸は、塾にも行ってないのに、すごい成績を取ってくる。

なのに、陸は、お姉ちゃんと、同じ学校でいいってふざけたこと言う。


まあ、陸にとっては、超難関校以外どこも同じなんだろうけど。



「何だよ、それ!絶対怪しい!!何されるかわかんない。だいたい、伊都は普通の高校生が、時給いくらもらってるかわかってんのか?」



「もう、透は考えすぎ」
伊都は、まるで取り合わない。