伊都は、写真を撮られたことをそれほど深く考えていなかった。

というより、忘れていた。

なので、透に呼び出された時は、休みのうちの予定のことだと思っていた。

伊都は、透の厳しい顔を見て、何か良くないことが起こったのだと思った。

「透?」

「この写真、君だよね?」

ごまかしても無駄だった。この後すぐに透と会ってるし、このとき着ていた服にも見覚えがあるから。

「これ、撮られたの俺と会う前だよね」

「はい……」

「この人とデートしてから、僕のところへ来たの?」

伊都は、顔を上げてしっかり透を見た。
「デートなんかしてないよ」

「じゃあ、何してたの?」

「洋服見てもらってたの……デートにふさわしくない格好でいたから」


「洋服代ずいぶん奮発したんだね」

「ええっ?そうなの?」理貴に払ってもらったから、洋服がいくらするのかわからない。


「伊都。自分で買って知らないの」

「えっと」

 
「ワンピースだけで7万、バッグや靴入れると十万はかるくこえる」


「知らなかった。ごめんなさい」


「どうして謝るの?何か謝ることしたの?」

冷ややかな言い方だった。


「ちょうどよかった。伊都は仕事入れたみたいだし、朝、学校へ、これから、一人で行くよ」