「あー、それはダメね。
そんな子犬パパいたら、私なら確実につまみ食いしてるわ。」
「うん。貴理子さんなら、確実に。」
と、お昼時の喫茶店でそんな危ない会話をしてる私達。
会話の相手は同じ職場に勤める上司で、私の良きママの先輩でもある貴理子(キリコ)さん。
旦那さんは海外に単身赴任中で、今は小学生の息子さんと二人暮らし。
ちょっと私といっくんみたいな感じ。
だから、よくいろんな相談とかをしちゃってるんだよね。
今も、そう。
今朝の子犬系イケメンパパの話をして盛り上がっていたところ。
「でもさ、実際さぁ…どうなの?
他の人の旦那とか、よく見えるわけ?」
「ん~まぁ、前の旦那が旦那でしたからね。
そう思ったら、他の旦那さん皆良く見えちゃいますよ。」
そうそう。
前の旦那があんな最低な男だったからね。
私はワンコインランチのオムライスを大きく掬って食べた。
「高間もさ、早いとこ新しい男見つけなさいよ。あ、そうだ!何だったら独身の男友達紹介してあげよっか。」
「お気持ちだけ受け取っときまーす。」
「も~、いっくんだって新しいパパが欲しいんじゃないの~??」
貴理子さんのそんな言葉を笑って聞き流すふりをして、実際は胸のど真ん中に深く突き刺さっていた。
新しいパパ…
そうなんだよなぁ。
いっくん、新しいパパ欲しいのかなぁ。
聞けないよ、うん。聞けない。
だって、私の方が恋愛待ったの状態だし。
何だかんだ、恋愛するの怖いんだよなぁ。