「裕太?」


「…可憐、来たのか」


あ、私このままここにいたら邪魔になるよね


「私、行くね!」


可憐さんの横を通ろうとした時
目があった。
彼女はニコッと笑って裕太君のところへ行った


「またね、春野さん」


私は、裕太君の"またね"を無視して
走った。

「あの本の勇気の出せないお姫様と一緒だ」


《またね、春野さん》


悲しいくらい何度もあの声が
リピートする


……私の名字…何で知ってたんだろ?
教えてないよね?……

ますます自分が惨めになってくる

もう、考えが全部ネガティブになってく