その後、しばらくしてから生徒会による

緊急集会が開かれた。

生徒会が仕切ることに不満を持つものはいなかった。

教師は学校どころかこの世にいないからだ。

時間が止まったように誰ひとり動かず静かに座って待つ。

生徒会長がマイクを持って前へ出てきた。

いつも堂々としていた会長は呼吸が荒く顔色が悪い。

「今回の件ですが、生徒会が窓、
昇降口を開けようと試みましたが、
びくともしませんでした。

今、私たちに出来ることは、余計なことはしないで、
ジャック犯を興奮させない事です。

食料は十分あるようなので各階平等に
大切に分け合ってください。

みなさんで協力しましょう。

また、先生方のご遺体は一階の体育倉庫へ。

男子は手伝ってください。

最後に、職員室には近づかないようにしてください。

ジャック犯がいるかもしれません。」

会長は"ジャック犯"と読んだが、

瞬にはどうしてもそんな
なまやさしいものだとは思えなかった。

奴は魔法で閉じ込めたと言った。

ほんとにそんなことはあり得るのか。

「他人は助けることは出来ないって言ってなかったか?」

「ゲームってなんだよ」

「くいもんなくなったらどんすんだよ」

不安が抑えきれなかった生徒が次々に

生徒会長に質問をぶつける。

生徒会長の顔は泣きそうでありながら
憤怒のオーラも放っていた。

副会長が

「わかり次第伝えます。

一つ言えるのは何もわからないということだけです。」

と、上手く場を収め集会は解散となった。

自分達の教室へ戻った瞬たちは
大きなため息が出た。


いない。


渋谷がいない。

それどころか血痕もきれいに落とされ

何事も無かったかのようだ。

人間は極限の驚きと恐怖を
繰り返すと呆れになるらしい。

周りを見ると瞬と同じリアクションの者が多くいた。

俺達の脳のリミッターは
とっくに振り切っていたのだろう。