「……いいでしょう、受けてやる。あなたと私で、術合戦をしましょう」

 守道が言い、前に出る。
 え、と驚き、章親は守道の袖を掴んだ。

「ちょ、ちょっと。何言ってるのさ」

 が、守道は平然と、章親の手を振り払う。

「さぁ、あなたの術を、私に向けて放ってみてください」

「ははは! 後悔するなよ、若造!」

 高笑いし、道仙は惟道に目をやった。
 だが。

「私は『あなたと』術合戦をしよう、と言っているのです。惟道殿は関係ない」

 守道の言葉に、うぐ、と道仙が口を噤む。

「あなたは何か勘違いしている。鬼を召喚したのは大したものだ。でもそれを御せないなら意味がない。召喚するだけなら誰にでも出来ますよ。それに、召喚した後あなたは何をしたわけでもない。実際に動いていたのは惟道殿だ」

「こ、惟道だって、血をばら撒いただけではないか! それだけで、わしよりも強いというのか!」

「実際あなたは惟道殿がいないと、何も出来ないではないですか。それともあなた単体でも、何らかの攻撃を加えることが出来るのですか?」

 にやりと笑う守道に、かぁっと道仙の顔が赤くなった。

「馬鹿にするでない!」

 叫ぶや、道仙は懐に手を突っ込んだ。
 守道と章親が身構える。