背が高く、気の強いあたし。
チビで童顔で、お人よしな梅吉。
あたしたちはいつも、こんな感じだった。
あたしのワガママに梅吉が振り回される、というのがいつものパターンで、周りからは
「女王様としもべみたい」
なんて言われてたっけ。
完全にあたしの言いなりだった梅吉だけど、誰にでも振り回されるタイプだったわけじゃない。
いじめられっ子ってわけでもない。
むしろ可愛い系のルックスのおかげで、一部の女子にはモテてたと思う。
そんな梅吉があたしの後ろばっかりついてくること
……内心、嬉しかった。
「あ~、ほんと怖かったよぉ」
肝試しを終えると梅吉は校門前の地面にへたりこんだ。
「杏ちゃん、こんどからはさぁ。こんな怖い遊びじゃなくて、普通のとこ行こうよ」
「やだ。退屈だもん」
「たまには僕のお願い聞いてくれてもいいじゃん」
「却下」
「杏ちゃ~ん」
ほんとは梅吉の言う通り、普通のところで遊んでもよかったんだけど。
あたしはわざと正反対のことばっかり言ってたんだ。
だってあたしが意地悪すれば、梅吉がすがってきてくれるの、知ってたから。
そのとき、梅吉は突然「そうだ!」と手のひらを打った。