「……何言ってんの?
あんた、頭だいじょーぶ?
てか、誰なのよ?」
寝起きでハスキーなあたしの声は、イラ立ちのせいもあり超ローテンション。
そりゃそうだ。
せっかく気分よく寝てたのにいきなり起こされて、いきなり「今日は俺の言いなりね」なんて。
これでヘラヘラ笑っていられるほど、あたしは人間できちゃいない。
「ねえ、答えなさいよ。何の用があってあたしに――」
『あはは! あいかわらず女王様だね〜。杏ちゃんって』
「はい?」
何、こいつ。
『俺だよ、俺。
梅吉(うめきち)』
あたしは携帯を持ったまま、口をパクパクさせた。
梅…き……ち?
梅吉って……まさか、
「あの梅吉!?」
『そう。その梅吉』
……信じらんない。