「梅吉、何なの、これ!?」
「何って、プレゼントに決ってんじゃん」
「……っ」
なんでそんな、男っぽい顔で見下ろしてくるのよ。
「大丈夫だって。俺、バイト代入ったから余裕あるし。それにこれ、そんなに高くないしね」
梅吉の言うとおり、たしかにこのショップの浴衣はどれもロープライス。
でも、こんなのやっぱり変だよ。
ドキドキしてるあたしの胸も変だ。
「あ、包まなくていいです。ここで着替えていくんで」
レジの前で梅吉が店員さんに言った。
「かしこまりました。では試着室にご案内しますね」
店員さんはスッとお店の奥の方を手で指して、あたしに目配せする。
「杏ちゃん。俺、ここで待ってるから着替えておいで」
あたしはよっぽど不安げな顔をしていたんだろうか。
梅吉が、安心させるような口調でそう言った。
浴衣の着方なんかわかるわけもなく、試着室には店員さんも一緒に入った。
「優しい彼氏さんですね」
店員さんはあたしの腰のあたりで紐を結びながら、そんなことを言う。