誰、こいつ。


せっかく気持ちよく眠ってた
夏休みの朝なのに。


『もしもーし、
 杏(あんず)ちゃん?』


知らない番号からかかってきた電話に起こされて、
あたしはすっごく、不機嫌だ。


『久しぶりだね。元気にしてた?』


いやいや、だから誰よ?

起きぬけのボケっとした頭で、考えるのも答えるのも面倒くさい。


いいや、切っちゃえ。


――と思ったとき、
電話の男が、こんなことを言いだした。



『約束通り、杏ちゃんには今日
俺の言いなりになってもらうからね』



「……はぁ!?」











 【今日だけは君のもの】