彼は笑って時間を見る。
「はい、大丈夫ですよ」
───彼は私にただただ優しくしてくれた。
お酒を飲みすぎた私はまたベロンベロンになった。彼は私をホテルに連れていってくれて、
「お金は俺が払っておきます。ゆっくりしていってください」
そう、優しく出ていく彼の後ろ姿が元彼に似ていて私は泣きわめいてしまった。
「行かないで、私を一人にしないで……っ、」
酷い顔で彼に迫っていったと思う。彼が優しくなかったらドン引きするくらいに。でも、それくらい必死だった。
「ねぇ……っ、一度だけでいいから私を抱いて…!彼を忘れさせて…。」
今になっては、彼と離れたくない気持ちからでた言い訳にすぎない。我が儘で面倒な女。
だけど、彼は私を優しく抱き締めてくれた。
「それは…できないよ、」