「す、すみません!」
そう、アタフタ慌てる彼がさっきのしっかりした彼とは思えなくて笑ってしまった。
「いえ、大丈夫です」
そう言うと彼はホッとした表情を見せた。彼のお陰か風の冷たさのお陰かはわからないけど少し酔いも覚めてボーッとしていた思考がはっきりしてくる。
「あの……一緒に飲んでくれませんか?」
いや、嘘かもしれない。私はいつも言わないような積極的な言葉を言う。彼は驚いた表情を見せたが、おかしそうに笑った。
「男についていっちゃ、いけないんですよ?それでもいいんですか?」
そう聞いてくる彼。だけど、私は何処か安心していた。彼はなにもしないって。
「いいんです。私の愚痴を聞いてください」
彼の目を見る。結構私も背は高い方だけど意外に上を向かなきゃいけない。