「…行くのか…?」

「…うん…」

「寄り戻すのか?」

私は暗い表情の横山に近寄り、横山の手をつかむ。
そして、いつも身につけていたピンキーリングを彼に渡した。

「これ持って、私の帰り待っててくれないかな…」

私は決断していた。
和樹に終止符を付けることを。

「必ず帰ってこいよ…俺、待ってるから…」

笑顔で頷き、私は旅館を出る。