タイムカードを押し、女子更衣室へと行く。
プレス機があるからか、夏は40度を超えるような過酷な場所と化すため、それぞれの更衣室にはシャワールームが設置されていた。

この工場で女の人は私を含め、4人ほど。
1人は事務の人で、残りの二人は部品検査のパートのおばちゃんである。
汗をかくような仕事をしているのは私しかいないため、実質このシャワールームは私専用となっていた。

シャワールームにはお気に入りのシャンプーやボディソープが置かれ、少し温めのお湯を頭からかぶり、そのシャンプーでがしがしと頭を洗う。油臭い身体がフローラルのいい香りに変化して、とても気持ちがいい。

身も心も(心は多少もやっとしていたけど)スッキリとし、裏起毛の厚いパーカーとGパンに着替えてぐるりとマフラーを巻くと、会社を出た。

もう冬が近付いているからか、外は既に暗くなりひんやりとしている。
工場の中は機械の熱で冬は暖房がいらないくらい温かいが、郊外の山の麓にある工場のため、冬は寒いと氷点下になる時もある。
外と工場内との温度の差に、身体がびっくりとしてしまうほどだ。

あまりの寒さにポケットに手を入れ、マフラーに顔を顔を埋めるようにして家までの道のりを歩いた。

この工場から自分のアパートまで徒歩で約15分。
普段はカブで通勤しているが、こんな寒い時は基本徒歩である。
アパートの近くには小さなスーパーとコンビニ。仕事との往復をするだけの生活なので、最低限のお店があれば十分だ。

今日はコンビニのおでんとカップの日本酒かな。
冬はやっぱり熱燗だよねえ。温めなおしたおでんをはふはふしながら、ぐいっと一杯。
ああ、考えただけでよだれが出そう。