「じゃあ、まだ掃除が残ってますんで、これで」

「あ、ちょっと待って。ねえ、この後予定ある?」

掃除をしようと後ろを振り向き戻ろうとしたところで、声を掛けられた。

予定?このあと?

「特に。家に帰るだけですけど?」

「じゃあ、一緒にご飯でも食べに行かない?」

は?ご飯!?
今までほとんど話した事もない男とご飯?

「・・・行きません」

そう言って、素早くくるりと後ろを向いて自分の作業場所へと戻った。
岡田さんは何か言いたげな顔でこちらを見ていたが、気にしないようにして機械のまわりの掃除を始める。

本当に何なの!?なんで私となのよ。
あんなにカッコいいんだから、自分の職場の綺麗なお姉ちゃんでも誘って行けばいいじゃない。
引くてあまたでしょうが!彼氏がいないからって憐れんでるの!?

悶々としながら掃除を終え、岡田さんがいた場所をチラリと見ると、そこにはもう彼の姿はなかった。
諦めたのだろう、と少しホッとした。