チャイムと同時に席に戻る。
私の席も座りやすい状態になっていて何事もないように座る。
鞄から筆箱を取り出そうと手を伸ばすと私の手を誰かが掴んで来た。
「席、ごめんね。周り煩くて。」
そう言ってお決まりの微笑みを出して相澤くんは手を離した。
「手掴むでもしないと、舞川さんこっち向かないでしょ?前から舞川さんと話したかったんだよね、本当、ずっと前から。」
私の反応を待たずに話し続ける相澤くんの様子に私は追い付けずにいた。
何か話さないと、言わないと。
「私、あなたのその笑い方、とても嫌い。」
発した言葉はこれだった。
あっ、言ってしまった、そんな反応をしたってもう遅い。
「...ごめんなさい、急に。」
「ううん、いいよ。俺も、この笑い方、嫌いなんだ。」
その声は少し震えていて"また話そうね"と付け加えて相澤くんは前を向いた。