あれから楽しそうに俺の前を歩いていく麗香ちゃんの後ろ姿をみつめる。


右手にはさっきのベビーカステラに、たこ焼き

そして口に運んで舐めているのは、口紅と同じ色をした小さいサイズのりんご飴…



麗香ちゃん、楽しそう…



あー…ヤバイ…クラクラしてきた。



「青木先輩!アレ!
へっ!?ちょっと、大丈夫?」




ふらつく俺の身体を支えて、心配そうにみつめた麗香ちゃんは俺の腕を道外れまで引っ張った。


お祭りの屋台でほんのり明るい静かな場所…


誰も座っていないベンチに俺を座らせると、また心配そうにみつめる。




『ありがと…』


「アホ…」


『俺、人混み苦手でさ』




そう笑って見せたけど、麗香ちゃんの表情は変わらなくて…




『だって、俺友達と少し前まで関わってなかったし?』


「…ヘラヘラしんといてーや。
はぁ、なんか飲み物買ってくるわ」




そう言って、ベンチに荷物を置いてまた人混みの中へと消えた麗香ちゃん…


ごめんね。


やっぱり、今日は笑ってくれないかもね。


だんだん頭が痛くなり、ぎゅっと目を閉じて俯いた。