なかなか、スムーズに行かないこの距離が返っていいかもしれない。


そんなことを考えて、麗香ちゃんと分かれて夕暮れ時の家までの道のりの途中…


公園のブランコに座る女性が目に入った。



『翼…?』


「梭冴!」



俺の声にパッと顔を上げた翼は俺の元に歩み寄ってきた。


でも、どうして翼がまたここに?


翼とはあの、雨の日以来会っていない。


もちろん、連絡も何一つ。



「久しぶりだね!」


『何かあった?
お前が俺に会いに来るなんて理由…』



そこまで口を開くと、翼から笑顔が消えた。


言いすぎてしまった。



『ごめん…』


「私ね、引っ越すの。
来年、4月までに編入手続きとか色々間に合わせないと行けなくて…明後日に。」


『え?』



翼が…?


いなくなる?