教室前まで着くと、廊下側の窓から麗香ちゃんの姿を確認した。


すると、ぱっと目が合い、麗香ちゃんは一瞬頬を膨らまし怒ったそぶりを見せたけど、すぐに笑ってくれた。


この笑顔…ずっと待ってた。


ただ、会いたかった。



教室から次々生徒が出ていき、教室には麗香ちゃん1人になったところで、教室に足を踏み入れた。



「梭冴くん…!」



俺を見るなり、駆け出してぎゅっと抱きしめられた。


胸元にある麗香ちゃんの頭を優しく撫でる…


髪からシャンプーの良い香りが漂う…



『ずっと、会いたかったよ』


「ごめん。」


『佐河はもういいの?』


「…うん。」



心優しい麗香ちゃんを、アイツがまた好きにならないようにしなきゃね?


こんな可愛い彼女、渡せるわけないでしょ。



『はぁー…、ずっと待ってた気がする』


「ん?」


『麗香ちゃんをぎゅっとすること!』


「な、なな!」




ぎゅっと麗香ちゃんを抱きしめ返す。


うん。


今、すっごい幸せだ。