「なーに、また麗香ちゃんを怒らせたの!?」
『ちょっ…花純』
『梭冴は怒られるの得意だよなー』
和希まで…
って、花純も和希もよく喧嘩するじゃん!
いっつも和希が怒らせて、仲直りさせるのいっつも杏ちゃんなんだから。
『あれ?杏ちゃんは?』
いつも居るはずの杏ちゃんが今日はいない。
珍しい。
「杏ならさっき、後輩くんに呼び止められてどっかに連れていかれたよ?」
『たぶんまた告白だろ』
最近、杏ちゃんは良く男子に声を掛けられては、肩をビクッとさせて逃げてしまう。
逃げられなかった時は手を掴まれた時だろう。
…大丈夫かな?
「あ!梭冴くん、おはよー!」
ふと顔を上げるといつもと変わらない笑顔で手を振って走ってきた杏ちゃん。
『おはよ、大丈夫だった?』
「え?あぁ、うん…
大丈夫大丈夫!」
「杏、付き合うなら私を通しな!
見極めてやる!」
「花純ちゃん…」
まぁ、その方が安心だけど。
『おい、もう授業始まんぞ』
和希の声に花純は適当に返事をして、教室へと足を運んだ。