「ひくっ、ひくっ…」




映画を見終わった麗香ちゃんは、エンドロールが終わると、ずっと涙を我慢していたのか泣き出してしまった。


お客さんが席を立っていく中、麗香ちゃんただ1人泣いていた。



『麗香ちゃん…大丈夫?』


「泣き顔…見やんといて」


『えっと、とりあえず出ようか?』




よっぽど泣き顔を見られたくないのか、俺のTシャツの裾を後ろで掴んで歩く麗香ちゃん。


意地っ張りで可愛い…。


でも、外に出たからには…



「は?ちょっと…」


『他の男に、麗香ちゃんの可愛い泣き顔…見られたくないんだけど?』




麗香ちゃんを優しく抱きしめて、意地悪して耳元で囁いた。


耳が弱い麗香を見通して。