少し笑った杏ちゃんは、すぐに俯いてしまった。


まさか、杏ちゃんの好きな人が自分だなんて思いもしなかった。


じゃぁ、ずっと近くで麗香ちゃんを見ていた俺を静かに見守っていたのかな。




「…早く。早く降ってよ。」


『杏ちゃん…』


「気持ちに区切り…付けるから」




震えた声で言って、俺の手を握り、必死に涙を堪えて俺の顔を見上げた。




『ごめん…』




この返事しか言えない自分に腹が立つ。


こんなに必死に杏ちゃんは勇気を出して頑張ってくれたのに。