乗り気じゃないんだよね。 わいわい騒いで、人混みにのまれるなんて。 俺はこうした、静かな場所が心地いいんだよ。 「一緒に…回らない?」 『?』 「ダメ…かな?」 振り返ると、俯く杏ちゃんの両手はスカートの裾をぎゅっと掴んでいた。 なんで? 『好きな人と回るんじゃないの?』 そう優しい口調で言うと、杏ちゃんは首を横に振った。 「私が好きなのは、梭冴くんなんだ。 ごめんね…。迷惑なこと言って」 …え?