リンリンリン……!!


『きゃ……!!』

そこから飛び出てきたのは金色に羽ばたく小さな……人だろうか。

いわゆる童話とかでいう《 妖精》だ。

『えっ……!なに!?』

結衣は理解ができずその《 妖精》を目で追いかける。

すると、誰かの声がした。

『ダメじゃないかティンク。脅かしちゃ。』

その声がしたほうに目をむけると
そこには美少年が開かれた窓に座っている。

『あ……。えっ……えぇ!?』

結衣は訳がわからなく動揺する。

泥棒……と思ったがその《 妖精》を見る限り幽霊とも思ったりする。

少年はそのティンクと呼んだ妖精を自分の肩に乗せると、結衣に手を差し出した。

『ごめんよ。おどかすつもりはなかったんだ。ティンクが勝手に引き出しに入って君が知らずにしめちゃったから驚いたのさ。』

結衣はそういえば……と思い出す。

引き出しがいつの間にか開いていた。

少年は続ける。

『僕はピーターパン。君、ウェンディをずっと探していたんだよ。』

『あぁ。はい。どーも。』

結衣はピーターパンの手を握るが
しばらくしてバッとはなす。

『いや……いやいや!ピーターパン!?』

『……?そうだけど?』

少年は自分の名前を呼ばれキョトンとする。

ピーターパンって……??
あのピーターパン……??

『ネバーランドに連れていくってやつ……?』

『おぉ!ウェンディなんで知ってるんだい?』

その少年の言葉に気が引ける。

なんだこいつは。

でも少年が嘘をついているようにはみえない。

げんに、少年の肩には小さな妖精がいるのだから。

『ちょ……ちょっとまって……。色々つっこみたい気持ちがあるんだけど、なんで私の名前ウェンディってなってるわけ。』

結衣はついていけないので先程から気になっていた事を聞いた。

ピーターパンはそれにビックリしたように答える。

『何言ってるんだい。前に会ったことあるじゃないか。』

『はぁ?』

勿論、結衣にはそんな記憶ない。
むしろこんなキャラが濃い奴と前に会った事があったら一生忘れないと絶対いえる。

するとピーターパンは『あぁ!』と何かを思い出す。

『そーだった。ウェンディの記憶を消しといたんだ。』


……いや。逆に理解できないから。

『ウェンディっていう名前の理由も全然理解できないし。』

『ははっ!ウェンディは面白い事言うなぁ。ウェンディはウェンディじゃないか!』

『…………。』

いや、答えになっていない。