( 深雪 side ) 「はぁ…」 佐伯くんの家を出てきて約20分。 さっきからため息しか吐いていない。 佐伯くん…、絶対怒ってるよね。 元々怒ってた上に逃げて来ちゃったんだもん。 「もう無理なのかなぁ…」 自分で言って泣けてくる。 『…本当に、いいんだね?』 『うん。佐伯くんがいい』 佐伯くんの彼女になったあの日。 身代わりでもいいから彼の傍にいたいと思った。 けど、その決意ももう緩んできている。