そのあと、歌乃はまた寝に行って、誠は放送に戻った。

あたしは歌乃について行ったあと、自分の荷物のあるところに戻ろうとして、歩いていた。


「お疲れさま」


何気ない言葉。

まるで親しい中のような、そんな感じ。


でも、この声の持ち主は……確かに裏切ったあの子の声。

前よりほんの少し低くなったような声……。

小学六年の卒業以来……。


振り返ると、確かに彼女はそこにいた。


「小夜」

「……紗夜衣ちゃん……?」


なんで今さら、顔を出すの?

なんで急に来たの?

なんでここに……いるの?