「どういうことだかわかる?」


なんとなくわかる。

でもそれを受け入れられない自分がいて、首を横に振った。


「紗夜衣はね、自分も傷ついてたの」

「紗夜衣が……?」

「いつの間にか、本当の友達だと思ってくれてたの。でも紗夜衣の目的は傷つけること。紗夜衣は自分の気持ちに逆らえなかった」


あの紗夜衣が……?


「それまで涙を流していたあたしの視界に入ったのは、苦しそうな表情をした紗夜衣。たぶんあの時初めて人を傷つけると自分も傷付くって知ったんだと思う」

「人を傷つけると自分も傷付く……」


でも、あたしの時はなんだったの?

泣いてなかった。

でも、笑ってもいなかった。

真剣な眼差しをよく覚えてる。